歴史
奈良時代
奈良時代には、カラフルな色の釉薬を使う中国の焼き物、唐三彩(とうさんさい)の技術が日本に伝えられ、黄色や緑色に白(透明)の釉薬を使う奈良三彩と呼ばれる焼き物が作られました。
ただし、奈良時代の三彩は量的に非常に少なく、特に仏具など特殊な用途で用いられたため、一般には土師器や須恵器が用いられました。
奈良時代末期頃、唐文化の影響のもと、鉛釉陶器に単彩化等の変化が生じ、緑釉陶器が生産されるようになりました。しかし、8世紀末~9世紀初めには、奈良三彩の生産が少量ながら継続されており、奈良三彩と平安緑釉陶器の中間の、移行段階の鉛釉陶器も生産されていました。
この頃、緑釉陶器の生産量はまだ少なく、生産地はほぼ畿内のみでありました。供給先も、宮都を中心とした地域がほとんどでした。
また、この頃の緑釉陶器の器種構成は、竈・羽釜・甑など、この段階に生産がほぼ限られ断絶する、特殊な器種を主体とするものでありました。