製法
乾燥・焼成
焼成中にひびがはいったり割れたりするのを防ぐため、陶磁器は焼成前に空気乾燥させなくてはなりません。
素地が十分に乾燥し、通気性、柔軟性にとんでいれば、650~750°Cほどの低火度で焼成できます。これを素焼(すやき)と言います。簡単な土器は今でもこの方法でつくられます。
窯が最初に用いられたのは前6千年紀でした。
窯には、炎が床の孔を通って垂直にあがる簡単な構造の窖窯(あながま)から、山の斜面を利用した大規模な登窯、大量生産にむいたトンネル窯などいろいろな種類があります。燃料は長い間、薪(まき)が中心でしたが、やがて石炭がもちいられるようになり、重油、ガス、電気も利用されています。
焼成方法には、大きくわけて酸化炎焼成と還元炎焼成があります。
炎に十分な空気を与えた強い炎の酸化炎と、窯の通風孔を部分的にふさいで酸素を減らした還元炎を使いわけることによって、同じ陶磁器の仕上がりにも違いがでます。
たとえば、鉄分の多い土は酸化炎で特徴のある赤色に、反対に還元炎では灰色あるいは黒になります。還元炎焼成では土の中の酸素原子が炎に与えられるため、赤い酸化鉄が黒い酸化鉄に変化します。