陶磁器
陶磁器は釉薬の有無や焼成温度で主に4種類に分類されます。土器・炻器(せっき)・陶器・磁器です。現代において陶磁器というと陶器と磁器を指すことが一般的です。
陶器
カオリナイト(カオリン)やモンモリロナイトを多く含んだ粘土を原料とし、窯で1100~1300℃の温度で焼いたもの。釉薬を用いる。透光性はありませんが、吸水性があります。
厚手で重く、叩いたときの音も鈍いです。粗陶器と精陶器に分けられます。
瀬戸焼、伊賀焼や大谷焼、ヨーロッパではマヨリカとそれから発展したファイアンス陶器、ウェッジウッドのクリームウェア、クイーンズウェア等硬質陶器、ハフナー陶器などで知られています。
磁器
磁器は半透光性で、吸水性が殆どありません。また、陶磁器の中では最も硬く、軽く弾くと金属音がします。
粘土質物や石英、長石→陶土を原料として1300℃程度で焼成しますが、焼成温度や原料によって軟質磁器と硬質磁器に分けられます。
また、石英の一部を酸化アルミニウムに置換し、強度を高めた磁器も開発されていますが、こちらには透光性が殆どありません。
日本の主な磁器として有田焼(伊万里焼)や九谷焼などがあります。
英語では、産地名をつけた場合は、陶磁器共通に(産地名)+wareと言いますが、磁器自体を指す場合は、porcelainと言います。単にchinaということもあります。
土器
素焼きのやきもの。
粘土を窯を使わず、野焼きの状態で700~900℃の温度で焼いたものです。
釉薬(うわぐすり、またはゆうやく)はかけませんが、彩色されているものを「土器」と呼ぶことがあり、その場合は、その彩色具を釉薬としないことを前提としています。
歴史的には陶磁器の前身にあたります。
炻器
窯を使い、焼成温度は1200~1300℃。「焼き締め」とも言います。
釉薬はかけませんが、焼成において自然釉がかかるものがあります。また焼成において火襷(ひだすき)、牡丹餅などの模様が偶然(ときとして作為的)に現れることがあります。原料に珪酸、鉄を多く含んでいるため、赤褐色か黒褐色をしています。軽く打つと澄んだ音がします。吸水性はほとんどありません。代表例は備前焼や常滑焼などです。
古墳時代に朝鮮半島からもたらされた登り窯を用いて焼成する須恵器が起源。ただし常滑、萬古焼古の朱泥、紫泥は別系統で中国の宜興が元です。
ウェッジウッドの「ジャスパーウェア」、ブラックバサルト、ロッソアンティコなどの「ストーンウェア」も炻器です。